子どもたちが集う学童保育所

​~横浜市栄区 くでん学童保育所~

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部屋の中央には大黒柱を。大黒柱という存在を子どもたちが知るきっかけにもなりました。
施工期間 2020.4月~2021.2月
横浜市栄区の学童保育所、貫構法・土壁の家、石場建て(礎石建ち)です。
長年プレハブで運営してきた学童ですが、耐震基準を満たすために建替えか、引っ越しをしなければなりませんでした。
お子さんを通わせる親たちが、子どもたちが通い慣れた大好きな場所で学童運営を続けていきたい!という思いから、資金を調達しながら協力し合って建てた学童保育所です。
木造平屋で子どもたちが自由に遊べるよう仕切りはなく、開放的な空間にしたく天井は高めにとりました。​
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施工中は、子どもたちに様々な体験の機会を設けました。
スピーディーに家が建っていく現代において、大工が刻みから行い、加工して建てていく家を見る機会がなかなか持てないと感じたからです。本来の家の建つ過程を知るきっかけにもなってほしく、いつでも見学できるようにしていました。
毎日学校帰りに通る子どもたちが、現場によっては工事の進捗を確認したりもしていました。
その他実際の体験としては、地鎮祭、しずめもの、カンナ削り、上棟式、荒壁つけなど…。そして古い建物で使っていたおもちゃ棚の補修もみんなで行いました。​古いものも直しながら大事に使えることを伝えたかったのですが、子どもたちにとっては、すべて新しくなるよりも、ずっと使ってきた愛着のある物が残る というのは嬉しいことだったようです。みんな丁寧に作業を進めていました。
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​壁は主に中塗りじまいの引き摺り仕上げ。子どもたちが入って遊ぶ押入は並大津仕上げ、洗面台周りの水が跳ねる部分と外壁の一部分は漆喰磨きです。一部天井が漆喰ツタ仕上げとなっています。
漆喰磨きの漆喰は、宮城県気仙沼産の角又で作った糊、スサ、塩焼き石灰といったこだわりの材料で作った漆喰です。左官屋さんがこういった漆喰を作りたくても、今では材料を揃えることがとても難しいと言います。こういった左官技術の継承と共に、材料の確保がスムーズにできるよう、守っていきたい産業でもあります。
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漆喰を作る様子
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ピカピカに光るきれいな漆喰磨き(完成写真)
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​繊細な漆喰磨き
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土壁を塗る前の木舞。きれいな光が入ります。
この学童を、伝統的なつくりで建てたかったわけではなく、子どもたちに本来の家が建つ様子を知ってほしい、木のぬくもりの中で、土壁の心地よい空間で育ってほしい、そういう思いが先行しました。その思いを実現させるには、刻みから加工した、木組みであり、土壁の家だったのです。​

建設中に建ってく過程を見て、現場へも多く訪れていた子どもたちは、この場所へ戻ってくる頃にはすっかり建物への愛着や馴染みが培われていました。引渡しの際にプレゼントした「ぬか雑巾」で掃除してくれている子もよく見かけます。

​建て替えについては、くでん学童保育所ホームページからもご覧いただけます。
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ロフトへの階段下は一畳の畳スペース。
たった一畳ですが、畳屋さん(加藤畳店)に協力していただき、藁床に無染土熟成畳表と面の無地縁を付けた天然の畳を入れました。
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2つあるトイレのうち1つには男子便器を設置。
​男児が立って用を足す経験をしてトイレの使い方を学ぶことが出来るようにという先生の思いがありました。
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学校給食が休みの際や、長期休業の際に学童給食を作るキッチン。以前よりも広くなり、作業しやすいことを喜んでいただきました。